歯科口腔外科

歯科口腔外科について

口腔外科疾患の診断と治療の充実

外来診療担当医

1診福居福居福居福居福居当番医
2診武井武井武井武井武井-

当科の概略


当科では患者さんへの負担が少ない、患者さんにやさしい治療を心がけています。
地域の開業医の先生方と連携をとり、様々な歯科口腔外科疾患(埋伏智歯、顎口腔領域の腫瘍、嚢胞、外傷、歯性感染症、粘膜疾患、顎関節疾患、インプラント治療など)の治療や、基礎疾患を有する患者さんの抜歯、観血的処置を主に行っています。入院下での全身麻酔や静脈内鎮静法を併用した手術にも対応しており、外来での処置が困難な症例や、抜歯・手術に対する不安の強い患者さんが対象となります。
また、交通の便など様々な理由でお近くの歯科へ通院できない方や他科で入院中の患者さん(誤嚥性肺炎、自力での口腔内清掃が困難な方)、がんの手術や化学療法を受けられる患者さんの口腔ケアにも取り組んでおります。肺炎などの合併症を予防し、口腔内不快症状を軽減することで、治療がより円滑・快適に行われることを目指しています。

当科の特徴

診療には卒後10年以上の経験を持つ常勤歯科医師2名と非常勤歯科医師1名が携わっています。

外来診察室では智歯抜歯や嚢胞摘出等の小手術を行なっています。中央手術室を使って全身麻酔下の手術や静脈内鎮静下(少し眠ったような状態)の手術も可能です。

全身的な疾患をお持ちの方へは他の診療科の先生方と綿密に連携を取りながら、安全に外科治療を行なっています。血をサラサラにするお薬を飲まれていて、手術後の出血が怖い方は短期入院をして手術を受けることも可能です。また、手術に対する不安が強い方は静脈内鎮静法で手術を受けることも可能です。歯が原因で細菌に感染してしまった方やスポーツや外傷などの緊急性の高い疾患へも対応しており、必要があれば即日入院も可能です。

また、歯が無くなってしまった方への歯科インプラント治療も行なっており、入れ歯での食事が難しい方はご相談ください。

当科は大阪医科大学口腔外科の関連病院です。当科での治療が困難な患者様は責任を持ってご紹介させていただきます。また、当院には耳鼻咽喉科の非常勤医師が居ますので、当科のみでの診断が困難な場合は耳鼻咽喉科の先生と共に診察をさせていただきます。

対象疾患と治療法


手術室の現場写真


口腔外科手術の現場

普通抜歯

痛みのない丁寧な抜歯、きちんとした止血を行います。

智歯抜歯、難抜歯

親知らず(智歯)は斜めに生えてきたり、一部のみが口の中に出てくることが多く、不潔になりやすいため感染症の原因になることがあります。感染を繰り返す場合は抜歯の対象となります。感染がない場合でも、①治療できない虫歯がある②隣の歯の治療の邪魔になる③感染症の原因になっている④腫瘍や嚢胞の中に含まれている、⑤骨折などの手術の際に障害となるなどの理由で抜歯の対象となります。智歯抜歯、難抜歯の際には、歯茎の切開や周囲の骨を削ったり、抜歯する歯を分割することがあります。ほとんどの方は外来で局所麻酔下での手術になりますが、埋伏している深さや神経・血管などとの位置関係によっては、全身麻酔で抜歯することもあります。不安感や恐怖心が強い方は、希望に応じて鎮静法を併用した局所麻酔または全身麻酔下で抜歯することができます。深く埋まっている歯や複雑な形態を有する歯、神経や上顎洞との近接を疑う歯では、レントゲンだけではなく、CT検査にて3次元的な位置関係を確認した上で、より安全で、安心して抜歯処置を受けて頂けるようにしています。


腫瘍

口の中には、さまざまな腫瘍ができることがあります。その多くは良性腫瘍ですが、悪性腫瘍(癌)が生じることもあります。当科では、口腔腫瘍の診断、治療を行っています。肉眼での観察(視診)、直接手で触れて形や硬さなどを把握(触診)した上で、CTやMRIなどを用いて診断します。視診、触診、画像検査などで診断が困難な場合は、どのような性質の腫瘍であるかを調べるため、細胞診(細胞を拭い取って行う検査)や組織検査(腫瘍の一部を切り取って行う検査)を行います。良性腫瘍の治療は手術による摘出が原則です。各種画像検査や組織検査の結果を併せ考え、個々の患者さんに最適かつできるだけ侵襲の少ない治療を行っています。また、腫瘍の性質によっては、大学病院等に紹介させて頂く場合があります。

嚢胞

体に生じた病的な袋状のものを嚢胞(のうほう)といいます。口腔外科領域には、顎の骨の中や唇や舌下部などいたるところに嚢胞が発生します。初期には無症状ですが、大きくなると、顔や顎、歯肉が膨らんできます。細菌感染を起こすと、痛みや腫れることがあります。顎の中に生じた嚢胞は歯が原因であることが多く、レントゲンやCT画像を用いて原因となっている歯を特定します。軟組織に出来た嚢胞も、必要に応じて検査を行い大きさや位置を確認します。治療は手術療法が第1選択で摘出や開窓(嚢胞の一部を取り除き穴を開けます)を行います。歯が原因の場合、抜歯を含めた歯に対する処置も必要となります。大きい嚢胞では全身麻酔で手術を行います。

外傷

転倒や交通事故、スポーツ、殴打などによる口腔領域の軟組織の損傷、歯の損傷、あごの骨折の診断、治療を行っています。
口の中や皮膚が切れた場合:状態に応じて縫合処置を行います。出血が止まっている場合にも、傷の深さによっては縫合が必要となることがあります。かみ合わせがずれている場合や、骨や歯の損傷が疑われる際には、レントゲン、CTなどで、骨折の有無や歯の状態を確認します。
歯が抜け落ちた場合:その状態によっては、歯の植え直しを行い、固定することにより、歯としての機能を回復できる可能性があります。抜けた歯を洗わずに、水や牛乳の中に入れるなどして、乾燥させずにお持ち下さい。
顎の骨の骨折の場合:顎の骨に骨折が認められる場合は、元の位置にあごを戻す(整復)とともに固定が必要となります。全身麻酔の手術になることが多いですが、当科では、できるだけ患者さんに負担の少ない保存的な治療を行っています。

歯性感染症

口腔領域の感染症の原因は、虫歯や親知らずなど歯と関連した細菌感染が大半ですが、顎の中にできた嚢胞や腫瘍などに細菌感染が起こったり、ウイルス感染症の症状が口腔内に現れることもあります。原因が歯である場合(歯性感染症)には原因歯を特定し、感染が及んでいる範囲をCTやMRI で把握します。
治療は、膿が溜まっている場合には切開して膿を出します。さらに安静にしたうえで十分な水分・栄養補給を行い、抗菌薬を投与します。発熱がある、抗菌薬の内服で効果がみられない、食事ができない、口が開かないなどの症状がみられる場合は、入院下での治療となります。炎症がおさまった後に炎症が再び起こらないように歯など原因に対する治療が必要となります。
ヘルペス性口内炎や帯状疱疹など、ウイルス感染症が口腔内にみられることがあります。抗ウイルス薬による治療を行いますが、高熱がある、食事が困難、などの全身的な管理が必要な場合には入院下での治療が必要となります。

粘膜疾患

口の中にはさまざまな疾患が生じます。いわゆる口内炎は、原因不明のものも多いですが、歯や義歯などによる物理的刺激を原因とした傷、カンジダ(カビ菌)への感染など、さまざまな原因で発生します。全身的な病気の一部分の症状として、口内炎が発生することもあります。原因がはっきりしている場合には原因に対する治療を行います。歯や義歯が原因と考えられる場合は歯や義歯を削り刺激を除きます。真菌の一種であるカンジダ症が疑われる場合には抗真菌薬での治療を行っています。まれではありますが口腔内に癌が発生することもあるため、注意が必要です。
当科では、視診、触診での診断を基本とし、必要に応じて、細胞診(綿棒で細胞をぬぐって行う検査)、組織診(局所麻酔をして一部の組織を切除して行う検査)を行っています。

顎関節疾患

顎関節は顎の動きに関与する関節で、耳の前にあります。顎関節になんらかの症状がある場合を顎関節症といいます。主な症状は①顎が痛い②口が開かない③顎を動かすと音がするの3つで、このうち1つ以上の症状があり、他の疾患がない病態を顎関節症といいます。その原因は複雑で、歯ぎしりや歯をかみしめる癖、外傷、ストレスなどさまざまな要因が重なって、慢性的または強い力があごの関節にかかる場合に起こるといわれています。あごに負担をかけることにより症状が生じ、増悪するため、あごにできるだけ負担をかけない生活を心がけることが大切です。診断には問診、診察、パノラマX線写真に加え、必要に応じてCT、MRIの撮像を行います。治療は保存的治療が主体で、かみしめる癖など悪習癖の除去、鎮痛剤、筋弛緩剤などの薬物療法、マウスピースを用いた理学療法を行っています。

インプラント治療

歯科インプラント治療とはチタンという金属でできた人工歯根(インプラント体)を手術でアゴの骨に植え込む(埋入)ことです。埋入されたインプラントはすぐには骨とつきません。インプラント体とアゴの骨が強固に結合するには生着期間が必要です。(※3-6ヶ月、個人差はあります)治療をお受けになる患者さんにも歯科インプラントについての治療の進め方や定期的なメンテナンス方法、そして治療の限界についても十分に知っていいただき、自分の歯以上に大切に使用していただく必要があります。また、インプラント治療は医療保険が適応されません。全ての治療は自費になり、料金は症例により大きく異なります。手術までに十分な説明を受けてください。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠障害の一種で、寝ている間に喉が圧迫されて呼吸が一時的に止まってしまいます。それにより睡眠が浅くなり、日中の眠気に悩まされることがあります。また、最近では高血圧症のリスクが上がるなど、全身への影響も大きいと言われています。呼吸症候群の方に①夜間のイビキ②呼吸が止まる③むせる④日中の眠気や集中力の低下⑤倦怠感などの症状があります。まずは内科や耳鼻科を受診し、「睡眠時無呼吸症候群」なのか診断をしてもらってください。軽度の「睡眠時無呼吸症候群」と診断を受けた方はマウスピースで簡易に治療ができます。※中等度や重度の方は持続的陽圧呼吸療法(CPAP)や外科治療の対象となります。

唾液腺疾患

唾液腺は唾液をつくる臓器で、左右一対ある耳下腺、顎下腺、舌下腺と呼ばれる大唾液腺と、口腔粘膜下の小唾液腺に分けられます。唾液腺の疾患には、感染症、唾石、腫瘍、のう胞などがあります。感染症は様々な原因で起こりますが、その多くは、唾液腺で作った唾液を排出する管が何らかの原因で詰まったり、口の中の細菌が唾液腺に感染することにより生じます。唾石はその原因の一つで、唾液腺内または唾液を口の中に出す管の中に石ができ、唾液の流出を妨げます。食事の際に顎の下などが腫れる症状が特徴的です。炎症が治まった後には、唾石の摘出など炎症の原因に対する処置が必要になります。唾石の位置によっては全身麻酔の手術が必要となります。
また、口唇や舌の裏には小さな唾液腺で作った唾液が粘膜の下に溜まってコブのようにふくらんでくることがあります(粘液嚢胞)。この場合は外科的にのう胞の摘出を行います。

口腔心身症

口の中は舌がぴりぴりする、口の中がねばつく、口の中が乾くなどさまざまな症状がみられることがあります。その中で、“従来の歯科医学で説明できない、定型的な歯科治療で改善しない口腔症状で、精神医学的にも明確な診断がつかない病態”を歯科(口腔)心身症といいます。その原因としては不安、ストレスなど直接口とは関係しない、心理社会的要因が関係していることが多いと言われていますが、口腔感覚の認知の歪みが影響しているものとされています。癌を心配されている患者さんが多く、元来口腔内にあるものを病的なものであると誤解して、さまざまな症状を感じることがあります。診察では、まず症状に見合う疾患がないかを確認します。そのために必要に応じて画像検査を行うことがあります。治療は病態を説明した上で経過観察を行い、症状の緩和をはかります。

周術期口腔機能管理・口腔ケア

いろいろな疾患で手術や抗がん剤等を用いた化学療法や放射線療法を行う際に、各科と連携し口腔ケアを行っています。
がんの手術、心臓の手術、人工関節の手術、肺の手術等の際に手術前から口腔ケアを行うことで、口腔内の細菌を減らし手術後の感染や誤嚥性肺炎を予防します。手術後に起こる口の乾燥やねばつき感をケアし、不快な口腔の症状を緩和します。もし、悪い歯があれば治療することで、手術後に口から食べることの障害を取り除きます。
化学療法や放射線治療では口腔粘膜炎、口内炎、唾液量の減少による口腔乾燥などの副作用が出ることがあります。これらの症状を緩和することで、医科での治療が延期や中断にならないようにサポートします。
糖尿病の患者さんは口の中が乾きやすくなり、口の中が汚れやすく、糖尿病患者さんの7~8割が歯周病にかかっていると言われています。一方、歯周病を治療すると血糖値がコントロールしやすくなるなど歯周病の改善が糖尿病の改善に寄与するとのことがわかってきました。その他、歯周病は循環器疾患、脳血管疾患、リウマチ等いろいろな疾患と関連性があります。当科では、糖尿病をはじめ、医科での疾患を有する患者さんの口腔ケアを積極的に行っています。

有病者の口腔外科処置

超高齢社会を迎えた現在、なんらかの全身疾患(心臓病、喘息、糖尿病など)をお持ちの患者さんが増えています。当科では、より安全かつ安心な口腔外科治療を提供するため、医科主治医と連携し、全身状態を把握した上で、個々の患者さんに最適の口腔外科処置を提供しています。心臓病、脳疾患をはじめ、さまざまな疾患の治療に用いられている抗血栓療法薬は休薬せずに、より安心して治療を受けて頂くために、入院下での処置を積極的に行っています。骨粗鬆症や悪性腫瘍の骨転移に対する薬物治療を受けている方で、抜歯や入れ歯で傷ができた場合に、傷がなおらない、骨の上に肉が盛り上がってこない、などの症状が出現することがあります(薬剤関連顎骨壊死)。当科では医科主治医と連携のうえ、ガイドラインにのっとり、より安全な処置を提供しています。

その他

患者さんの全身状態を把握させて頂く際にお薬手帳は貴重な情報です。受診の際には必ずお薬手帳をお持ちください。また、主治医の先生の指示ではなく、ご自身の判断でお薬を休薬することは絶対に止めてください。
かかりつけ歯科をお持ちの方は、主治医の先生から紹介状を描いていただいてください。今までの治療の流れや経過が分からないと、診断や治療に困ることがあります。

地域医療機関の先生方へ

当科の診察(初診)は月〜土曜の午前中ですが、急性炎症や口腔外傷、口腔内出血等で緊急性の高い患者様に関しては適宜ご連絡ください。原則的に当日の抜歯はしておりませんので、ご了承ください。